《中医学のハナシ》花粉症
春爛漫の時期を挟む2月から5月上旬までの間が、花粉症の方にとっては辛い時期となります。花粉症は、スギやヒノキなどの花粉に対して身体が過剰な免疫反応を示すアレルギー症状です。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの諸症状には、対処療法が多いのが現状です。
中医学の見地から考えると、花粉症は 「肺と脾」に関わりが深い症状です。
まず、肺は身体の表面を覆っている皮膚や粘膜と経絡で結ばれており、肺が正常に働いているのであれば、外から侵入する邪気を防いで身体を防御します。
肺が弱いタイプの方には、脾(消化器系)の機能低下が多くみられます。
脾というのは消化吸収を主(つかさど)り、営養成分や水分を生み出します。そして、それらを肺に運び、全身に行き渡らせる働きを持っている臓腑です。そのため、脾と肺がともに機能低下を起こすと、その働きの一つである水分代謝が悪くなり、余分な水分が身体内に滞って身体の冷えにつながるのです。
さまざまなアレルギー症状は、この余った「水」による過剰な反応が症状として現れたものと考えます。
薬膳では、薄い鼻水が出るなどの冷えタイプの花粉症には、まず身体を温めることが重要です。しかし、最近は目や鼻のかゆみ、充血などの熱タイプの花粉症も多く、このタイプの方には、少し身体を冷やす食材が最適です。
日頃から、肺や脾の機能をアップする棗、陳皮、はと麦、雑穀類などを摂るとよいでしょう。
(鎌倉薬膳アカデミー学院長 山内 正恵)